売るためのヒアリングはかえってマイナス | 製造業のWebマーケティング | 宮本 栄治
2014年7月16日水曜日

売るためのヒアリングはかえってマイナス

おはようございます。
営業では製品説明よりヒアリングが大切だといわれています。確かにその通りですが、お客様の言うことを何でも聞いているだけでは、無駄も多くなります。そして場合によっては返ってマイナスになることすらあります。大切なことは「何を聞くべきか?」決めることです。単純にQCDを聞き出すだけでは厳しい価格競争・サービス競争に巻き込まれるばかりです。今日は営業でのヒアリングについて考えたいと思います。

間違った営業ヒアリングはかえって条件を厳しくする

QCDさえ聞けばいい?

営業はお客様の要求するQCDに応える必要があります。だからヒアリングでは要求されるスペック、納期、価格を聞き出しライバル会社の動向にも注意して慎重に条件を確認すると思います。しかし、要求する仕様が決まったお客様ばかりではありません。確かに明確に仕様が決まった案件は効率的ですが、多くの場合ライバル会社と比較検討をされユーザー主導で交渉が進み厳しい条件をクリアしても満足のいく利益が確保できないこともあります。市場が成熟・衰退したり、過当競争が繰り広げられると顕在ニーズを持ったお客だけを相手にしたのでは厳しくなります(他社を圧倒する技術力や製品があれば話は別ですが・・・稀なケースだと思います)。

悪いヒアリングは条件を厳しくする

早く契約を取ろうと焦る営業はすぐにQCDを聞き出そうとします。そうすると足元を見られ厳しい条件を突きつけられることになります。聞けば聞くほど苦しい立場に追いやられてしまうのです。ノルマに追われ余裕のない気持ちでヒアリングを行うとQCDに話が集中しがちです。それでは本当のユーザーニーズをつかむことはできません。QCDばかりを聞き出すヒアリングは最悪のヒアリングなのです。

なぜその仕様が必要なのか?

QCDが決まったお客様に対してはなぜその仕様が必要なのか?その背景を理解するためのヒアリングが有効です。現状の課題は何か?お客様の現状を把握するためのヒアリングです。背景が分かればQCDの中の優先順位や与えられた条件が本当に適切か?判断するためにヒアリングを行うのです。そして代替案やお客が気づいていない新しい切り口の提案を探すのです。プロとしての新たなQCD提案を行うためのヒアリングです。

QCDが決まってからでは遅い

もしかしたらお客様のニーズがスペックや仕様にまで落とし込まれてからでは遅いかもしれません。生産財の購入ではお客様は「目標」に向かってアンテナを張り巡らせます。そして、課題を見つけ、課題解決方法を探ります。そして、様々な解決方法から適切なものに絞り込み、スペックなどQCDに落とし込み業者選定を行うのです。ここまでに長い時間を使い複数の人々が情報収集を行うのです。どのタイミングでアプローチすることが自社にとって有利であるか?
  • 目標の共有なのか?
  • 課題設定なのか?
  • 課題解決方法なのか?
  • スペック選定なのか?
  • 相見積りなのか?
早すぎては労力がかかり過ぎ費用対効果が合いません。しかし、スペックが決まってからでは厳しい競争にさらされます。私は営業時代でスペック情報を聞き出すことはほとんどしませんでした。課題設定や課題解決方法を考えることから始めることが多く、スペックを固める作業はお客様と一緒に行ったのです。契約までは時間がかかりますが、長期的にみるとその方が効率的だったのです。短期的に契約をとるのも悪くありませんが、仕込に時間をかけ無競争で受注するというやり方もあります。

まとめ

営業ではヒアリングが大切ですが、「何を聞くべきか?」「どう聞くべきか?」を間違えるとかえってマイナスが多いように思います。売り急ぎはヒアリングにも現れます。お客様に足元を見られないことは営業の基本です。

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