ユーザー視点を持つのに邪魔になる言葉 | 製造業のWebマーケティング | 宮本 栄治
2014年7月24日木曜日

ユーザー視点を持つのに邪魔になる言葉

おはようございます。
マーケティングの仕事をしているとユーザー視点が大切って耳にタコができるくらい聞くと思います。確かに完璧にユーザー視点が持てたら、ユーザーの気持ちを汲んで快適なコミュニケーションや対応ができたり、魅力的なWebサイトを運営できるのでしょう。しかし、現実はそんな簡単ではありません。ユーザー視点を少しでも持つためになるべく使わないようにしている言葉を紹介します(個人の癖なので軽く聞き流してもらえると助かります)。

ユーザー視点を持つのに邪魔になる言葉

契約を取る

「引合を取って欲しい」、「契約を取りたい」会話の中でこういう言葉が出てくるときがあります。私はいつも違和感を感じます。契約は取るものじゃない。そして、「引合は取れないですよ」「契約はとるものじゃないですよ」と小姑のように細かなことを言います。申し込むかどうか決めるのはお客様です。契約を強制することはできません。そのことを意識してるので、どうしても気になってしまうのです。申し込むかどうかはユーザーの意思で決まります。営業にできるのは申込を受けるかどうかを決めること。そして交渉することだと思います。自分で契約や引合をコントロールできると思ってる営業がいます。できないことをできると思って行動しても上手くいきません。反応を無視した強引な営業、電話セールスを推し進める会社にこうした考えが多いように思います。「契約は取るもの」という考えでプッシュし続けるのでしょう。しかし、契約はお客様が決めるものです。

攻略(アプローチ)

見込客への攻略(アプローチ)という言葉も好きではありません。もっぱらコミュニケーションという言葉を好んで使います。攻略は完全に敵対関係になってしまっているし、アプローチというとちょっと売り込みっぽいからです。営業で使う言葉には戦闘用語が多くお客を敵と見なしているの?と非常に強い疑問を持っています。「アプローチを失敗したら他をあたる?」「何度も何度も手を変え品を変え攻略しよう」ユーザーとしてこの言葉を聞いて嬉しいでしょうか?私は嬉しくありません。それから、一度問合せをしたり資料請求しただけなのに何度も電話やメールで コンタクトを取られるのも好きではありません。私と同じように感じる人は多いのです。しかし、「仕事だから」とその自然な感覚を無視して積極的すぎるアプローチをしてませんか?ユーザーの感情を無視して良い結果は得られません。見込客とのコミュニケーションは長期の視点で考え、ユーザー視点で結果を急がずじっくりと信頼を育てて行くコミュニケーションプランニングを目指して欲しいのです。

囲い込み

「顧客の囲い込み」・・・好きになれない言葉です。BtoBビジネスとしてどちらが正解かは正直分かりませんが、自分としては顧客の囲い込みという発想はNGだと思います。お客様は「いい製品」、「いい情報」、「いい会社」を自由に探したいはずです。企業がどんなにお客様を囲い込もうとしても、その意図がお客様に伝わってしまったら、反感を買う可能性が少なからずあります。これだけインターネットで自由に情報が入手できる時代に、お客様を囲い込んで自社に有利な情報だけを伝えられると考える方が不自然です。自社が持つ有益な情報はなるべくオープンに公開し自由に情報にアクセスできるようにする事がコミュニケーション戦略の基本です。情報格差を利用するよりも、情報共有による顧客とのコラボレーションに移行した方が高付加価値を生み出せる可能性が高いと思います。当然、既存のお客様の企業秘密や差別化につながるような情報は公開すべきではありません。そして自社のノウハウ・技術でブラックボックスにすべき情報があることも事実です。しかし、でき得る限り情報をオープンにすることは価値が高いと思います。

情報提供

営業活動では情報提供が大切とよく言われます。私も営業時代は良く使っていた言葉です。しかしWebマーケティングに仕事を変えてからは少し違和感を感じる言葉になりました。インターネット上ではユーザーは情報を選択しているのです。けっして企業側から情報提供をしてあげているわけではなく、自ら情報選択をしているのです。情報提供はメーカー目線なんだと思います。ユーザー目線だとやはり情報選択なのでしょう。すごく細かいことと感じるかもしれません。しかし、私はこういうことを気にします。「モノ不足の時代から、モノ余りの時代になってモノが売れなくなった。」ということがいろんな所で言われますが、モノだけでなく情報も似たような状況だと思います。「売れないからネットを使って情報発信だ。」以前ならこれでも成果は出たかもしれません。しかし、これからはこの発想では厳しいと思います。

まとめ

ユーザー視点を持つことは大切ですが、それを邪魔する言葉があるように思います。その言葉は「契約を取る」「攻略(アプローチ)」「囲い込み」「情報提供」です。これらの言葉を意識することでメーカー視点にならないよう気をつけています。

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