法人営業と個人営業の違いより大切なこと | 製造業のWebマーケティング | 宮本 栄治
2014年12月10日水曜日

法人営業と個人営業の違いより大切なこと

おはようございます。
年末も押し迫ってきましたが、比較的ゆったり仕事に取り組むことができています。昨年から徹底している5S活動と、毎日の段取りの替えが業務効率を上げているのです。仕事自体は去年よりあるのですが、それ以上に効率化が進み時間にゆとりが出ています。まだまだ真似事ですが、それでも製造業の改善ノウハウは本当にすごいなあと思います。「自分たちは特殊だ」「BtoBとBtoCは違う」そういう側面もありますが、その中にある共通項に注目してもいいなあとこのごろ感じています。 営業でも法人営業と個人営業の違いばかりに注目が集まりがちですが、共通項も多く営業の基礎は一緒だと再認識しているところです。

法人営業と個人営業の違いより大切なこと

「理論的な検討かどうか」という思い込み

法人客は理論的に業務に必要なものを選ぶと言われています。そして個人は買う買わないが気分によって大きく変わるともいわれています。しかし、それは、法人か個人かという違いというよりも購入する商品が与える影響の大小が原因です。個人消費で最も高額な商品、例えば住宅。住宅を購入する時に気分だけで決断するユーザーはほとんどいません。自由に使えるお金との比較で、慎重度合いが変わるのです。法人か個人かではなく【失敗のきく買い物がどうか】が鍵なのです。逆に法人顧客であってもいつも理論的に検討するわけではありません。「どんないい条件でもライバル会社からは買いたくない」「長年お世話になった会社を裏切るわけにはいかない」と理論的な検討がなされないケースもあるのです。また少額の購入に関してはじっくり性能や価格を比較検討することはなく、感覚的な選択が行われるのです。また法人営業の決め手はQCDと考えられがちですが、QCDは絶対ではありません。「品質」「価格」「納期」が多少劣っても選ばれることがあるのです。相手が信用できるかどうか?これまでの実績、供給能力やアフターサポート、親会社や元請け企業の意向など”大人の事情”も選定に影響を与えることがあるのです。

理屈のまえに感情

法人営業も個人営業も根っこは一緒です。特別な理由のない限り、嫌いな人からは物を買わないのです。(嫌な人でもその人にしかできないことであれば別ですが・・・)法人営業は理論的な提案が大切と意識するあまり、相手の気持ちに気を配ることを疎かにしているケースも見受けられます。しかし、提案のまえに相手の心を開き、顧客ニーズや現状を正しく理解することが営業には不可欠なのです。同じコンペでもヒアリングの差で条件が全く変わってしまうことだってあるのです。「法人営業はなんか難しい」と思い込んでいませんか?でもコツさえつかめば誰でもある程度の成果は出せます。法人営業もプライベートの友達作りも基本は一緒なのです。プライベートだと仲がいい相手のことを良く知ってるはずです。仲良くなりたい人のことはもっと知りたいと思うものです。そして理解が深まるほどに付き合いも深くなります。法人営業も一緒です。ほんの少し違うのは担当者を理解するだけでは不十分で、会社についても興味を持って理解しなければならないということです。

あなたの一番仲のいい友人は

  • 男性ですか?女性ですか?
  • 痩せてますか?太ってますか?
  • 身長はどの位ですか?
  • 年齢は何歳くらいですか?
  • 家族は何人ですか?
  • 一人暮らしですか?
  • お酒は飲みますか?
  • 好きな食べ物は何ですか?
  • 苦手な食べ物は何ですか?
  • 趣味は何ですか?
ほとんど知ってますよね。では取引先ではどうでしょうか?

あなたの一番大切な取引先は?

  • メーカーですか?商社ですか?
  • 売上や利益は増えてますか?
  • 設立して何年ですか?
  • 従業員数はどのくらいいますか?
  • 主要な取引先はどこですか?
  • 意識するライバル会社はどこですか?
  • 営業系の会社ですか?
  • 研究開発系の会社ですか?
  • 販売は直販ですか?代理店販売ですか?
  • 通信販売はしていますか?
  • 海外拠点はありますか?
あなたは大切な友達と同じように大事な取引先のことも知っていますか?やっぱり信頼してもらうには、お客様に興味を持ち、より深く理解するのが第一歩です。法人営業も個人営業もベースは同じです。相手の気持ちを開くことが先決。そのうえで提案を行う必要があります。

プレゼンよりヒアリング

提案営業は効果的な手法として持てはやされています。しかし、多くの人が提案営業を誤解しているかもしれません。華麗なプレゼンテーションや裏ワザ、そしてテクニック。提案をより魅力的に見せる効果的な表現方法・・・それらを否定するつもりはありませんが、そんなことよりも顧客や見込み客に心を開いていただくことのほうが大切なのです。どんなに正論で理論的に正しくとも、(むしろ正しいことを言えばいうだけ・・・逆効果になることも・・・)誰が言っているかによって受け取り手の反応は大きく変わるのです。信頼を積み重ね、相手のことを深く理解するには良いヒアリングが欠かせません。良い提案書は読むとお客様の悩み、願望が手に取るようにアリアリと描かれています。本物の提案営業はけっして、どこかで読んだことのあるようなニーズや課題、現状分析の教科書的なものではないのです。提案営業には理論思考が必要ですが、それ以上に信頼関係を積み重ね、相手を深くするためのヒアリング能力が重要です。ヒアリング能力が法人営業個人営業に関わらず必要なスキルなのです。

「御用聞き営業」≒「提案営業」

御用聞きには「何か必要なものはありませんか?」というだけのイメージがあります。しかし、そうではありません。本物の御用聞きは”執事”のような存在です。これまでの注文を覚えており、買い替えのタイミングやニーズを熟知して、必要なタイミングに必要なものをさりげなく持ってくるのです。顧客を良く知ってるから無駄がなく、一見簡単に見えてしまうのです。個人営業でも法人営業でも一緒です。顧客のことは会社のことから担当者の個人的な趣味・志向から家族構成まで幅広く理解してます。ニーズを先読みしながらさりげなく用意するのです。「そろそろ在庫が切れるので持ってきてよ」→「ちょうど持ってきてました」こういうことが自然とできるのが御用聞きです。御用聞きは自分が目立つようなことはしません。自然にさりげなく役に立つ。顧客がいつも主役です。提案営業が上で御用聞き営業が下というのは大きな勘違い。それはスタイルの違いに過ぎません。黒子に徹して顧客を立てるか。華やかな提案で自分にも光を当てるか。その違いです。提案営業では一歩間違えると顧客よりも営業に脚光が当たりますが、御用聞き営業では決してそういうことはありません。立派な提案書をつくって派手なプレゼンはしませんが、確実に顧客に貢献します。

まとめ

法人営業も個人営業も本質は同じです。顧客理解と貢献。法人か個人かの違いは小さな違いでしかありません。法人営業と個人営業の違いに拘るのは悪いことではありませんが、その前に営業としての土台をしっかり作ることの方が先決です。

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