企業間取引はQCDだけで決まらない | 製造業のWebマーケティング | 宮本 栄治
2014年7月31日木曜日

企業間取引はQCDだけで決まらない

おはようございます。
製造業ではQCDは外すことのできない重要な要素です。しかし、市場環境の変化により、スペックだけでの検討は以前より難しくなっています。実績やブランドイメージが与える影響が大きくなったのです。技術力だけで判断できないのにはわけがあります。

企業間取引はQCDだけで決まらない

未知の技術領域の拡大

技術の専門化・細分化や多様化によって専門領域以外の技術の価値を正しく評価することが難しくなっています。特に新市場に打って出る時は評価し慣れた既存の技術だけで開発,製造、品質検査ができるとは限りません。新しい価値を作るには経験したことのないことにチャレンジする必要があるからです。また、様々な要素技術が必要な製品では1つの部品の不具合が与える影響が想像以上に広範囲に広がるケースがあり、そのことがさらに判断を難しくしています。高成長が望める成長市場であるほど未知の技術領域を積極的に取り込む必要が大きく、その分技術評価も難しくなっているのです。

プロダクトライフサイクルの短縮化

プロダクトライフサイクルの短縮化によって、研究・開発がスピード化しており、部品・モジュール・ソフトウェアの検討に以前ほど時間が取りづらくなっています。ヒット商品を開発しても以前に比べ【売れる期間】が短くなったためにリードタイム短縮や納期を優先せざるを得ず、技術評価にじっくり時間が使えないことが多くなっているのです。さらに調達先のグローバル化とインターネットの普及によって情報過多となりすべてを検討することができないのです。限られた時間の中でなるべく多くの情報収集をする必要があり、詳細な検討を行うのを難しくしているのです。どうしても取引実績や知名度のある企業が中心の検討になりがちです。

リスクヘッジ

企業間取引は長期化することが多く、特に原材料や部品などは定期的な購入により取引金額や購買量が多くなります。そのため購入リスクをできる限り回避するために使い慣れた技術や信頼のある会社を選択する傾向があります。そして問題なければリスクのある新技術、新素材の検討には慎重にならざるを得ないのです。

組織での検討

生産財の購入は高額な設備やキーデバイスなど重要なものほど購入関与者の人数が増える傾向があります。そしてメンバーごとに専門分野が異なり、技術に対する知識レベルもまちまちなのです。組織的な検討になればなるほど、コストや実績、知名度、場合によっては親会社の意向や、営業の思惑など技術以外の要素が入りこんでくるのです。

まとめ

企業間取引では一般に思われる以上に、QCD以外の要素が検討に影響しています。QCDが中心に検討が進められることに違いはありませんが、QCDだけでは説明できない取引があることも事実です。

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