どうする? 日本企業 | 製造業のWebマーケティング | 宮本 栄治
2011年9月16日金曜日

どうする? 日本企業

お勧めの本を紹介します。それは「どうする?日本企業」(三品和広著)です。

どうする?日本企業」(三品和広著

タイトル:どうする? 日本企業
著者:三品和広
発売日:2011/8/4
ジャンル:経営学・キャリア・MBA
ISBN-10:4492532919
ISBN-13:978-4492532911

本当に品質ですか?

製造業で神話化されたイノベーション、品質、多角化、国際化についてあえて疑問を呈しその難しさと怖さを示します。品質信仰の弊害についてはヤマハのピアノの事例を紹介。最高級ピアノのスタインウェイの市場を奪い一旦は頂点を極めながら、その後長期低迷を続ける原因をデータを交えながら説明します。ヤマハの成功の原動力はバラツキを徹底的に排除することで「顧客の期待を裏切らない品質」=コンフォーマンス・クオリティを提供すること。スタインウェイの「顧客の期待を上回る品質」=パフォーマンス・クオリティとは一線を画したところにあったと解説。

パフォーマンス・クオリティ

パフォーマンス・クオリティは素材や仕上げが醸し出す品質なので、これを上げるには原価を積みます必要があります。最高級品の魅力を追及するための「顧客の期待を上回る品質」なのです。

コンフォーマンス・クオリティ

コンフォーマンス・クオリティは製造工程のバラツキ排除で上げるもので、品質を上げるほど材料や作業のムダが減り、原価が下がるのが特長。安心を追及するための「顧客の期待を裏切らない品質」なのです。

異質の品質で市場を奪ったヤマハですが、その後、同じ路線の品質で勝負をかけた韓国勢や中国勢に市場を奪われます。いま様々な業界で起きる現象と似たことが1970年代にすでにあったのです。このほかにもイノベーション信仰の弊害についてはセイコーのクォーツ時計の事例を紹介してます。この本を読めば品質、イノベーション、国際化信仰による思考停止の怖さがよく分かります。

この記事もおすすめ
改善だけでは息詰まる?
日本企業のものづくり革新
いまこそ「イノベーションのジレンマ」を読もう

このブログを検索

このエントリーをはてなブックマークに追加